第149章

大島莉理は、自分の頬を引っぱたいてやりたい気分だった。自分たちは上司と部下だ。部下のほうから「頭を揉みましょうか」などと申し出るのは、明らかに分を越えている。

とはいえ、口に出してしまった以上、引っ込めるのも間に合わない。

彼女は慌てて言い繕う。

「母が前から頭痛持ちで……それで、きちんとマッサージを習ったんです。この手のことは一応、得意で……」

田中辰哉は、彼女のどこかちぐはぐな様子を見て、ふっと笑った。

「君みたいに上司のことまで気にかけてくれる社員ばかりだったら、俺は幸せ者だな」

怒っているふうでも、変な受け取り方をしている様子でもない。大島莉理は胸を撫で下ろし、気持ちも少...

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